サルビアの甘い蜜
ずいぶんと低くなった夕暮れの日差しが
道路の花だんでまっ赤に咲いているサルビアを照らし
長い影をつくっていた。
子どもの頃、友達に「サルビアの蜜は甘い」と教えてもらった。
・ ・ ・
サルビアの花びらをつまんで引っ張ると
顎(がく)のところから抜けるようにきれいにとれる。
その付け根の部分をチュッと吸うと、ほんのり甘い。
そのことを知った子供の僕らは、サルビアを見つけるたびに片っ端から蜜を吸った。
僕らの通ったあとには、蜜を吸われ、捨てられた花びらで赤い道ができていた。
なんせ子供だから加減を知らなかった。
このままじゃ町中のサルビアが吸い尽くされるかも…という、そんなある日
いつものように蜜を吸うため花びらを抜き、口にもっていこうとすると
視界に何やら黒いものがチラッと映った。
“黒いもの”の正体は小さなアリ。
甘い蜜に群がっていたのは僕らだけじゃなかった。
あわててその花びらを捨て、それ以後再び蜜を吸う気にはなれなかった。
こうして町のサルビアは無事に守られた。
・ ・ ・
ものすごく久しぶりに、サルビアの蜜を吸ってみた。
やっぱりほんのり甘かったけど
あの頃吸った蜜はもっと甘かったような気がした。
注意)
このご時世、道ばたなどに生えているものを口に入れる際にはよくご注意の上
くれぐれも自己責任でお願いします。
アスパラガスの赤い実
歩道にある街路樹の脇に
アスパラガスがたくさん実をつけていた。
実はどれも真っ赤に熟していた。
1週間ほど前に見た時はどれもまだくすんだ赤で
側の家のおばさんは「もっと赤くなったら持って行って植えるといいよ」
と教えてくれた。
この赤い実を植えると
最初の年は細くてダメだけど
2、3年ほどで食べられるくらいのアスパラが生えるのだとか。
成長し、葉の茂ったものは観賞用として花屋さんでも売っているアスパラガス。
その姿からは、なかなかあの“アスパラ”は想像できないけど
根元に近い茎をみると、ちゃんと面影が残っている。
ここ札幌では庭や花壇でアスパラガスをよく見かける。
春から夏にかけ、土から伸びていくときの姿はまさに“アスパラ”で
それがあちこちでニョキニョキ生えているのを見ると、ちょっと不思議な気がする。